『民藝図鑑』出版まで
「この図鑑の編纂は長い間の懸案であった。又多くの
知友から要望せられた出版であった。」
柳宗悦『民藝図鑑』1960
It was a long-pending problem that the these illustlated books were compiled.
A lot of friends would like to request the publication.
これがどれくらい長い間の懸案事項かというと、1925年に書かれた
「日本民藝美術館設立趣意書」の中に、以下の言及があります。
「是等の蒐集は、もとより研究の資料としても準備せねばならぬ。
私達は順次是等を整理して出版を試みるであろう。最初それは小冊子に
始まり、後図録の刊行に及び、終りに出来得べくば研究の発表によって
之を結ぶであろう。」
そうすると、日本民藝館が1936年に東京駒場に開館する以前、民藝と
いう言葉が出来て間もない頃からの35年越しの願いであり、柳宗悦が
亡くなったのが、1961年であったことと併せてば、どうしても
という思いで仕上げた仕事であったと言って差し支えないでしょう。
数日前の言及を訂正しましたが、3巻は残念ながら生前の刊行には間に
合わなかったということになります。
3冊とも裏表紙には FOLK-CRAFTS VOLI,I,IIIIと金の文字で彫られていますが、
奥付には第1巻では ILLUSTRATED CYCLOPEDIA OF FOLK-CRAFTとされていた
タイトルが、第2巻では 第3巻ではA HARVEST OF FOLK-CRAFTS from The
Collection of the Folk-craft Museumとなっており、よりこの書物の公式性が
際立ったタイトルになっていました。
今日は何を書こうか迷ってこんな解説になりました。